ブランドは買うものではなく、磨きあげるもの
ある休日。
僕は車を走らせ、少し家から距離のある温泉施設に朝っぱらから足を運び、朝ウナ(朝サウナ)をした。
僕が好きで好きで仕方ないもの。それはサウナだ。最近、自分のことを語るということをブログ以外であまりしないのだが、どうやらサウナがトピックになると、僕は話を止めるということができなくなるらしい。
この前留学時代の友人と久しぶりに遊んだのだが、僕は渋谷にある老舗の鰻屋で、ふっかふかのうな重を前にして、気づかず30分以上サウナ、ロウリュ、セルフロウリュ、オートロウリュへの愛を語っていたようだった。「ロウリュもいいけど、うな重食べようよ」という友人の言葉ではと我に帰った。
投資銀行ですでに億とか稼いじゃっている友人から不動産投資の節税スキームを解説してもらって、「やっぱ金持ちの考えていることはすげーな」と素直に驚く一方、ちょっと油断すると「やっぱり将来不動産を買うならキレイな水が流れている長野の山のあたりだな。サウナ小屋建てるのにもってこいだしな」とかすぐ頭の中で話がそれてしまう。どうやら僕のサウナ愛は、人の話を素直に聞くという非常に大切なことの妨げにもなってしいるらしい。
という、超どうでもいい話をしてしまったが、とにかく先週朝にサウナに入って、そこについているTVの番組内で、ある人物から目を離せなくなってしまった。
その人物とは、Non Styleの井上裕介氏である。
なぜ目を離せなかったか。それは彼が「キモおもろい」からだ。
井上氏の家にギャル曽根さんがお邪魔して、冷蔵庫の残り物で華麗な料理を振る舞い、井上氏に食べさせるという内容だったのだが、とにかく井上氏がキモい。
- 冷蔵庫の残り物に漬物が死ぬほど余っている → キモい
- ギャル曽根さんに朝の情報番組でのトークについて話を振られ、水を得た魚のように10分くらい自分語りが止まらなくなる → キモい
- 髪型 → キモい
- 普段の雰囲気 → キモい
- そのキモさ → おもしろい
という見事な「キモおもしろさ」の演出が井上氏にはあった。
そのキモおもしろさは、人によっては「本当にキモい」となるかもしれないが、少なくとも僕は、「おもしろいな~」というポジティブな感情を抱いた。
また、彼がすごいところは、そのキモさとしての一貫性にあると思う。
正直僕はあまりTVを見ないのだが、たまに妻が夜にTVを観てる隣で僕も観たりすると、VS嵐やら、東大王やら、なんやかんやのバラエティ番組に氏は必ずいて、しかもそのキモさを遺憾なく発揮しているのだ。
おそらくそのキモい髪型も、毎月同じ美容師さんに「いつものキモい髪型にしてください」とお願いしているのだろうかと想像すると、本当に涙ぐましい努力だと思う。彼はその「キモい」というブランドを日々磨きに磨いて「おもしろい」に昇華させ、TV番組に引っ張りだこなのだと思う。
・・・
最近読んだ本に、森岡毅氏の『苦しかったときの話をしようか』という本がある。
内容の詳細はまた別途語るとして、そこで語られているテーマの一つが「セルフブランディング」についてだ。
その本は、氏が就職中の自分の娘に語りかける形で書かれており、よって内容についてはビジネスドリブンである。ビジネスで自分としての価値を遺憾なく発揮できるよう、自分が得意なことをセルフブランドとして磨いて、そのブランドと一貫した行動を継続しさらに磨いていきなさい、という旨だ。
一方、このビジネス面でのブランドの話も、さきほどの井上氏の話となんら齟齬はない。つまり、自分の得意なところ、自分が人よりも秀でているだろう(もしくはそう望む)価値について、それを人が自然に認識できるように、日々アピールしていくこと。そのブランディングと一貫した行動を継続し続け、さらにそのブランド力を向上させていくことは、自分の活躍の場を広げていく上で重要ということだ。
「◯◯といったら△△さんだよね~」
という、自分なりの付加価値を最大限に極め、それがいろんな人から認識されれば、仕事は常に回ってくる。「キモくて面白いでいったらやっぱNon Style井上だよね」みたいな感じだ。
また、そのセルフブランディングをどう定義していくかだが、方法論としては以下のピラミッドを作っていくことなる。
実は、ビジネスとしてのマーケティングとなんら互いはなく、「誰に、何を、どうやって訴求する?」という観点を深堀りしていくことによりブランドを創り上げることとなる。
また、その築いていくブランドについては、以下の問いに答えられるかがポイントとなる。
- 価値は十分強いか:要は意味がある価値か?
- 信じられるか?:その価値を発揮する上での裏付けはあるか?
- 際立っているか?:差別化されているか?
- 自分の本質と一致しているか?:別人を演じてはいないか?
井上氏でいうと、その「キモさ」については、芸人の中でも際立っているし、「ナルシスト」も混ざって独自性も生まれているとすら思う。少し前の狩野英孝氏と似ているイメージだが、今や狩野氏よりもそのブランドに磨きがかかっているのが井上氏なように思える。そして、日々のTV番組内での氏のキモい言動が、そのブランディングとしての信ぴょう性、期待性を確固たるものに築いているのだ。
ビジネスの世界、TVの世界、色々な世界でのセルフブランディングの好例はたくさんあるが、そのうちの1つがこの井上氏なのだ! と思うと、僕はサウナ内のTV内の彼に目が釘付けとなってしまった。そして半ばのぼせる、、、というタイミングで僕はサウナから出て水風呂に存分に浸かることになった。水風呂は、サウナ内で暑さに耐えれば耐えるほど気持ち良いものだ。井上さんのお陰で、かなり良い気持ちよさを得られた!
「You're Non Style but you do have your Style!」
お疲れさまです。