Kazunoriの思考と日記

28歳男・IT企業事業企画/推進・一児のパパ・タイ人の妻・埼玉在住の人がまじで徒然なるままに書いているブログ

ロジカルセリングの本質について考えてみる

最近、社内で「ソリューション営業」の研修があった。

 B2Bの営業で、どのように戦略を立てたら売れるか?についての、感覚的ではない、再現性がある合理的な手法を学んだ。いわゆる営業のサイエンスを学んだわけだ。

 

また、社内研修に便乗して、久々に以下も読み返した。テーマとしては、↑の営業研修と同じである。

books.rakuten.co.jp

 

研修を受け、また読書を経たうえで、僕の頭の整理のためにも、ロジカルセリング(=再現性のある合理的営業手法)の本質について、考えてみたいと思う。



1つ目の問いだが、ロジカルセリングはそもそも何なのか?

そもそもロジカルなセリングはあり得るのか??営業は、感覚的かつ芸術的なもの、最高なまでに属人的なスキルなのではないか??

 

これは、半分はYESで半分はNOであると思う。いわゆるコンシューマ向けの営業は、ほとんど属人的かつ感覚的なものなのではないかと思う。

個人の購買は、必要性と同時に「好き嫌い」に基づくものであるし、個人それぞれの懐具合によっても、購買活動の様子は変わってくると思う。

個人は、「ゴール」が不明確なうえ、購買活動の基準が人それぞれである。必要性にかられてiPhoneを買う人もいれば、なんとかく周りがそうだから、という理由で買う人もいる。iPhoneに一つのステータスと感じローンで買う人もいる。

 

一方、企業は個人に比べ、「ゴール」が明確である。それは、利益を上げ、ステークホルダーに還元することである。(ま、企業の定義や、企業が何のために存在するか、というのは色々な説があると思うが、根本的には利益を上げること=企業における善という前提で良いだろう)

よって、企業における購買活動も、利益を上げることに沿ったものがほとんど考えても良いだろう。たとえ、「業務効率の改善」という名目で購入されたシステムも、元をたどると、業務効率の改善→少ない工数で売上をあげる→利益の改善 という風に、必ず利益に結びつくだろう。

 

そして、企業の購買活動については、「稟議」という道筋を必ず通るものだ。上場していないワンマン企業はわからないが、基本的には、ある程度大きく、整備されている企業であれば、購買時の稟議フローも明確化されている。つまり、購買における意思決定の会議体や基準が明確化されているということだ。



まとめると「利益状況の改善」という共通のゴールをもとに、「稟議」という、形式的な意思決定をする企業への営業は、その手法のルール化、形式知化がしやすい。それこそがロジカルセリングである。

ロジカルセリングは、研修でも本でも共通した2つのアプローチがある。

  • 課題アプローチ
  • 組織アプローチ

の2つだ。

課題アプローチは、端的に言うのであれば、企業におけるコストカットや売上増大、その手段である業務効率の改善等、財務的課題に対し、ソリューションをアプローチすることである。

組織的アプローチは、稟議フローを会議体やキーパーソン、キーパーソンの業務的役割やいつまでにいくらの決裁権がある等を構造的に把握し、その構造に沿って適切な情報を適切な形で出していくアプローチを言う。組織を構造的に捉えるために、先方の担当者とコミュニケーションを重ねていくことももちろん必要だ。

 

このような、企業の財務的課題にアプローチするソリューションを持って、意思決定のキーマンにそのソリューションの価値を訴求することこそ、B2Bの営業における再現性を持つ手法・手段である。

 

 

めでたくB2B営業を「見える化」したわけだが、そこで2つ目の問いである。

B2B営業を、再現性を持ってサイエンスできるのであれば、それを身に着けた人は、必ず受注できるはずだ。ロジカルセリングを身に着けた人でも、受注率にばらつきがあるのはなぜなのか?

 

 

僕は、個人の感覚や経験から言っても、ロジカルセリングにより受注できる確立は、せいぜい50%が良いところだと思う。つまり、企業の意思決定の50%は、合理的でない、他のもので構成されているということだ。それは何なのか?なぜ、意思決定のゴールや手法が明確化されている企業で、そのようなことが起こり得るのか?

 

なぜなら、企業そのものは、実態のないもので、人が集まって作るものが企業だからだ。つまり、企業の意思決定でも、個人の好き嫌いが大きな影響が与えるケースがあるのだ。


これは、僕も営業として、お客様にやられた経験があるのだが、個人の「好き嫌い」をあたかも、「企業的に合理的な」意思決定に見せるのは簡単なことである。

たくさんの定性的論証と、ほんのちょっとの定量的データをちょいちょいって料理してしまえば、立派な稟議資料に出来上がってしまうのだ。

意思決定者の業務的使命は何かを把握するのと同時に、その人の個人的欲求や野心、使命は何なのかを把握することは、同じだけ重要である。


営業としては、その意思決定者の「個人的欲求」にどれだけ寄り添ってコミュニケーションが取れるか、がロジカルセリングの手法と同じだけ重要で、その大部分は感覚的なものであり、もはやアートとも言えるものかもしれない。

その個人的欲求に寄り添うのも、たとえばその人のSNSでの発信情報や、メール文面、電話での語り口調からある程度は分析できるし、相手の立場に立って考え、相手にとって「わかってくれて、役に立つやつ」になれば、接近することもできるかもしれない。
「わかってくれて、役に立つやつ」になるのは、努力により可能かもしれない


しかし、最終的には担当者と営業、人と人との関係なので、人の個性や性格、雰囲気により好き嫌いが分かれてしまうのは仕方ないだろう。それは、もう個人の努力ではどうしようもない。そこはアートな領域で、それにより意思決定者に好かれ、売れる、という人もいるだろう。(メンタリストDaiGoだけは、この領域もサイエンスできるかも)

 

そろそろまとめに入ろう。


僕たちB2B営業がすべきことは、まずはロジカルセリング手法を身につけることである。

どう身につけか?という議論は簡単にできることでないし、そもそも身につけるのに長い年月がかかるもの(僕もまだ半分も身に付いてないかも)かもだが、B2B営業のゴールとしては、お客様の財務に良い影響をあたえることなので、お客様よりもお客様の業界やビジネスを理解して、お客様の利益のためにアドバイスできるくらいになる、というのが一つの指標となるかもしれない。

 

ロジカルセリング手法を身につけたら、あとは人と当たり前のコミュニケーションを当たり前にとれることが、次のステップでなかろうか。

相手は何を考えてるのだろう?相手にどのようなことを言ってあげると喜ぶだろう?

という普段からコミュニケーションで考えていることを、当たり前のようにビジネスの場でもすれば良いのではなかろうか。

まぁ、ここも簡単そうに見えてすごく難しくて、実際僕も1年目~2年目途中までなかなかできず、お客様に良く怒られたのだが、まぁ、親身になって丁寧に相手のことを考えれば、普通にできることなのだと思う。

そしてその先の、「なんとなくおもしろくて、可愛くて、好きになっちゃうやつ」になるのは、これはアートなので、初めから捨てるのが良いだろう。ここも捨てられない人は、メンタリストDaiGoの著書を何冊か読むと良いのではないだろうか(僕は5冊くらい読みました。w)

 

ということで、少し長くなったが、ロジカルセリングについて思うことを書いた。

ロジカルセリングが画期的なサイエンス的営業手法だったとしても、やることとしては、一つひとつのことを当たり前に、一生懸命真摯に取り組むことと本質には変わらないと思う。

 

当たり前のことを当たり前に(そしてちょっとの戦略的・俯瞰的思考)が、営業でも生きることでも変わらず、きっと一番重要なのだ。

 

 

かずを