Kazunoriの思考と日記

28歳男・IT企業事業企画/推進・一児のパパ・タイ人の妻・埼玉在住の人がまじで徒然なるままに書いているブログ

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。」の本質

年明けから、マーケティング関連の本を4~5冊読んでいる。
その中である気づきを得たので、ここでまとめておきたい。


表題の言葉は、かの有名な経営学者のピーター・ドラッカーが、著書『マネジメント』でマーケティングについて述べた有名な一文である。

また、ドラッカー氏が残したマーケティングの定義:顧客の創造 は、私が新卒1年目で受けたマーケティングの外部研修でも引用されていた。

マーケティング」というと、なんだか抽象的ではあるが、ドラッカー氏が残した上記の表現は、なんとなく「そんなものなのだろうな」と感じるくらいで、自分の中で腑に落ちた訳ではなかった。ただビジネスパーソンの中ではドラッカー好きな人多いし、なんか良さげなこと言っているくらいだろうな、という感じである。

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少し話が変わるが、「バリュープロポジション」という言葉について話したい。

僕は今は営業最前線には身をおいていないが、営業をしていたときに、お客様に提案するとき、特にコンペのときなんかは身にしみるくらい「うちのバリュープロポジションは何なのか?」と唱えていた。

Value(価値)のProposition(提案)は、簡単に言うとその会社にしか出せない価値である。

お客様が求めているもので、競合が提案できないものこそ、その会社独自の価値となり、そこが営業における提案の肝、受注の鍵となるものだ。法人営業では、このバリュープロポジションを提案フェーズの初期に見極め、そこに沿った提案を顧客のキーパーソンにしていくことが、シンプルかつ一番強力な戦略だ。


なぜ、今私がバリュープロポジションの話をしていたかと言うと、マーケティングの本質は、このバリュープロポジションそのものを土台にして考えるべきものということを理解したからだ。

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マーケティングというと、何をイメージするだろうか。

価格戦略?広告?ハブスポット?集客セミナー?パンフレット?デジタル?オートメーション?
少し詳しい方だとマーケティングの4Pという言葉を知っているかもしれない。

4Pは、

・Product:どんな商品、サービスを

・Place:どのような流通経路にて、場所にて

・Price:どのような価格にて

・Promotion:どのような広告、プロモーションをして

売っていくか

というマーケティング施策を効果的、効率的にしていくために存在する一番有名なフレームワークの1つだ。僕も大学一年生のときマーケティングの授業で一番初めに勉強したのを覚えている。

私も今までマーケティングと言ったら、上記の4Pに関する施策と思っていた。そしてその認識はそれなりに色んな人に共有されていると思う。

ただ、4Pを考え抜くことは、あくまでマーケティングのHOWであり、そのものがマーケティングにはならない。マーケティングの本質は、さきほど話した「バリュープロポジション」を考えぬくことそのものだ。

バリュープロポジションを考えることはすなわち、その企業が何のために存在するのかを考えることである。

もし、企業Aが提供しているプロダクトが企業Bのそれと似通っていたとしよう。
おそらく、細かな仕様、機能で言うとAとBは異なるかもしれない。ただ、お客様によってどう受け止められるか、そのプロダクトにより得られる効用(=顧客価値)が同じだとしたら、そのAとBは差別化できないので、価格競争をすることでしかお客様に買ってもらうことができない。

価格競争で、一時的に売上を伸ばせたとしても、その先に待っているのは利益の圧縮とキャッシュフローの悪化だ。そして、少し短絡的だが、極端な話それが続くと倒産だ。

企業が存在するのは、その企業が提供するサービス・プロダクト・ソリューションにより「ありがたいなぁ」と、思ってくれる顧客がいるからこそであり、そのありがたさが別の企業でも提供できるのであれば、企業は存在する意味が無くなってしまう。。


少し話が周りくどくなったが、マーケティングは、「その企業が顧客にどんな価値を提供したいか」により、施策の詳細を決めていくべきなのであり、施策の詳細は、バリュープロポジションに先立つものなのではないのだ。

4Pに沿って価格を決めたり、流通経路を決めたり、広告を打ったり、パンフを作ったり、、、マーケティングオートメーションツールを利用して顧客育成を効率的に行ったり、、、

マーケティングの様々な施策は、それぞれで完結するものでなく、「企業のバリュー・プロポジションは何か」の論点を土台にして、一本筋の通った一連の流れで進められるものだ。

そして、バリュープロポジションを明確に見極め、それを土台にしたマーケティングの施策が効果的に実施できたとしたら、、、おそらく販売は不要になる。なぜなら、その企業でしか提供できない価値が明確になっているのだから。顧客のニーズは、その企業によってでしか満たせることができないのだから。よって、かのドラッカー氏は「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。」という名言を残したのだ。深ぇ。

バリュープロポジションは、営業のための言葉だと思っていたのだが、マーケティングでも拠り所であるべきことだというのを認識した。


また、マーケティングマーケティング部門がやるものでもないことを知った。マーケティングは、企業を構成する人全員によって成されないといけない。だって、それを考えることは、すなわちその企業が存在する意義を考えることそのものなのであるから。


稲盛和夫がらぶなかずのりが書きました。