Kazunoriの思考と日記

28歳男・IT企業事業企画/推進・一児のパパ・タイ人の妻・埼玉在住の人がまじで徒然なるままに書いているブログ

「どうやるか?」の前に「何をやるか?」に全神経を集中させるべきだという話

最近好きな人がいる。

好きと言っても、Fall in Loveではなく、どっちかと言うとAdmireという感じだ。

その名も森岡毅。日本最強と言ってもいい、伝説的なマーケターである。

マーケターとはつまり、「マーケティングをする人」だが、森岡氏はあのUSJマーケティングの力でV字回復させた人だ。マーケティングと言うと、少し抽象的な言葉だが、要はビジネス上における目標に向けて、売れる仕組みを作ることである。

「売れる仕組みを作る」という言葉も抽象的なので、より深ぼると、企業として市場でどんな価値を提供するのか、という方針に従い、ビジネスのターゲットを決めて、その人が望むものを考え抜いて、そこに合わせて価値を提供できるサービスを作ったり、物を作ったりということであろう。

マーケティングの勉強をしていて、だいぶ色々な本を読んだのだが、この分野でどんな本よりも勉強になったのが森岡氏の本だ。彼のP&GやUSJでのマーケターとしての経験は、第三者の僕から見ても非常にスリリングでシビれるもので、氏の経験を通して語られるマーケティングに関する説明は、リアリティがあり、腑に落ちるものであった。

マーケティングだと、少し詳しい人だと4Pとかポジショニングとかをイメージするかもしれないが、氏のマーケティングに関する説明で、上記のようなマーケティングのHOW(具体的な手法)に関する記述は微々たるものだった。


具体的な手法に関する説明が少ないのは、それはそこまで重要で無いということだ。森岡氏は、HOWよりもWHAT(何をすべきか)を選ぶ重要性について説いていたのである。

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選択と集中という言葉は、良く経営の文脈で使われる。

自社が実施すべき事業領域について手を広げすぎず、強みを用いて価値を発揮できる領域にて勝負する、という意味合いで使われることが多い。

そして、その「自分の強みが発揮できるところで戦う」ということは、まさにマーケティングにおけるWHAT(何をするのか)の思考そのもので、それはHOW(具体的な手法)よりも先立つものだ。このWHATを考え、選びぬいたからこそHOWを考える意味があるのであり、HOWから考えるのは本末転倒ということだ。これは、ITシステムを作るにあたり、業務要件を考え抜いてからシステム要件に落とし込むべきであり、システム要件から考えるべきでないことと同じことだ。

なぜWHAT(何をするのか)を特に考え抜く必要があるのかというと、単純に企業は、何か目的を実現するにあたり常にリソースが足りないものという背景がある。

少ない予算、少ない人的リソースの中で最大限にパフォーマンスを向上させることをゴールとすると、この選択と集中が欠かせない。どんな規模の会社でも、常にリソースは逼迫しているのだ。それは僕のもうすぐ4年になろうとしている社会人経験からも実感できる。

 

USJの話に戻ると、森岡氏が就任した2010年の早い段階で、USJを「映画に関連したパーク」でなく、「世界のエンターテインメントに関するセレクトショップ」と訴求する市場の範囲を拡張したのを皮切りに、まずは「小さな子ども連れの家族が最大限に楽しめるエリアを作る」ことをマーケティングにおけるWHATに据えた。

そのWHATに向けて、具体的にはどう作るか?どのようなプロモーションをするか?等のHOWが考えられたわけだが、やはり森岡氏のすごいところは、このWHATの的確さ。効果へ結びつく度合いだろう。ちなみに、森岡氏はWHATを決めるにあたり、効果予測を高度な数学を利用して実施しているとのこと。数学できるのうらやましい、、、

マーケティングの初期で利用される3C分析も、SWOT分析も、結局はその企業が何をするかのWHATを決めるためのツールでしか無い。結局企業は顧客に価値を提供できるからこそ存在しているのであって、その価値を提供できる分野を考え抜き、他を捨てるということが活動の骨子となるのだと思う。(もちろん、その後のHOW、またの名をエグゼキューションも重要であることは変わりはないが、、、)

ちなみに、「何をやるか?」を考えるのにあたり、その選択が的確かを評価する指標として4Sを考えると良いらしい。

  • Selectiveか:実施するものが限定的か。選択されたものか
  • Sufficientか:実現するためのリソースが十分か
  • Sustainableか:中長期的に継続可能か
  • Synchronizedか:自身の強みや特徴に結びつくか


むやみやたらに自分のリソースを費やすのでなく、リソースを使う対象の選択と集中が必要なのは、必ずしも会社だけでない。僕らの時間と金も全く同じように考えないといけないと思う。

僕たちだって、何かを得る(例えば喜びとか、幸せとか)をために生きているのであって、そこに至るために何をするか、はやはり考え抜かないと行けないと思うのだ。


時間も金も有限だし、僕たちが若い時間だって限定的なのだから、、、

 

すごく散文になってしまったのだが、とにかく感じたことは、「マーケティング」という難しそうな言葉だからと言って、何かすごく特別なことをやるのではない。効率的に成果を出すために、「何をやるのか」を戦略的に考えるという、至ってシンプルな考え方がその骨子であるのだ、ということだ。